2026年6月19日、改正介護保険法と改正社会福祉法が参議院本会議で可決・成立しました。ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格更新制の廃止、住宅型有料老人ホームへの登録制導入、中山間地域でのサービス基準弾力化など、複数の重要な改正が一度に盛り込まれています。これらの変化は、介護サービスを利用する方々やそのご家族、そして介護・福祉事業者にとって、今後の支援のあり方に直結するテーマです。このブログでは、今回の改正の要点を整理しながら、現場の視点から何が変わるのかをわかりやすく解説します。
📌 目次
📋 今回の改正介護保険法のポイント
今回成立した改正介護保険法は、単一テーマの改正ではなく、複数の制度的変更を一括して盛り込んだものです。主な変更点は大きく3つに整理できます。
- ケアマネジャー資格の更新制廃止(研修義務化へ移行)
- 住宅型有料老人ホームへの登録制(事前規制)の導入
- 中山間・人口減少地域でのサービス運営基準の弾力化
それぞれが独立したテーマでありながら、共通するのは「支援の質と地域の持続可能性を両立させる」という方向性です。制度が大きく動くとき、現場でどう解釈し、どう備えるかが問われます。
🔑 ケアマネ資格の更新制が廃止される、その意味
ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格は、これまで5年ごとに更新研修を受講しなければ失効するという「更新制」がとられてきました。この更新研修は時間的・金銭的な負担が大きく、現場からは長らく見直しを求める声があがっていました。
今回の改正で、この更新制が廃止されることが正式に決まりました。ただし「研修を受けなくてよい」ということではありません。今後は、一定の研修受講がケアマネジャーの義務として位置付けられます。
何が変わるのか
- 現行の「更新研修を受けなければ資格を失う」というルールがなくなる
- 研修はオンデマンド化・時間数圧縮で負担が軽くなる見込み
- 現行の再研修(ブランクのある方が復帰するための研修)も廃止され、よりシンプルな仕組みに
- 事業者(居宅介護支援・介護施設)にも、ケアマネが研修を受けられる機会の確保が義務付けられる
この変化の背景には、深刻なケアマネ不足があります。全国でケアマネジャーの人数は年々減少傾向にあり、更新研修の負担が離職や復帰の壁になっているという指摘が続いてきました。
介護・障がい福祉の現場において、ケアマネジャーは利用者の生活全体を支える重要な存在です。グループホームや訪問看護・訪問介護と連携しながら、利用者が必要なサービスをスムーズに受けられるよう調整する役割を担っています。ケアマネジャーが安心して働き続けられる環境づくりは、支援の質を守るうえで欠かせません。
🏠 住宅型有料老人ホームに登録制が導入される理由
今回の改正でもう一つ注目すべきポイントが、住宅型有料老人ホームへの事前規制としての登録制導入です。
住宅型有料老人ホームは、介護保険の指定を受けない施設として設置されてきました。そのため、現状では自治体への事前の届出は必要ですが、指定サービスのような厳格な基準・審査は課されていませんでした。
しかし近年、入居者が重度化した際の対応不足、虐待事案、劣悪な環境での運営など、問題が表面化するケースも生じてきました。利用者・ご家族が「入居してから気づく」という状況が続いており、事前規制の強化を求める声が高まっていたのです。
登録制が目指すもの
- 開設前に行政への登録(基準適合の確認)を必須とする
- 中重度の要介護者を受け入れる施設を対象とした規制の強化
- 利用者・家族が施設を選ぶ際の「見えやすさ」の向上
この変化は、住宅型有料老人ホームを運営する事業者にとって、対応が必要になる局面が増える可能性を意味します。一方で、長期的には「質の高い施設が選ばれやすくなる」市場環境への移行とも言えます。支援の質を大切にしてきた事業者にとっては、むしろ追い風になり得る変化です。
🗾 中山間・過疎地のサービス基準が弾力化される
今回の改正には、中山間地域や人口減少地域を対象にしたサービス運営基準の弾力化も盛り込まれています。
過疎化が進む地域では、介護・福祉サービスの担い手が絶対的に不足しており、都市部と同じ基準でサービスを維持することが困難なケースが増えています。特定の地域に限り、運営基準の一部を柔軟に適用できる仕組みを設けることで、サービスの継続性を守ることを目指しています。
北海道は広大な面積を持ち、札幌市から離れた地域では過疎化・高齢化が深刻です。この規定が将来的に北海道の地域福祉にどう関わるか、注目が必要です。
👨👩👧 利用者・ご家族にとっての変化と注意点
今回の法改正は、直接的に「サービス内容」が変わるものではありませんが、中長期的に利用者・ご家族の生活に影響する変化を含んでいます。
ケアマネ更新制廃止の影響
これまで、担当ケアマネジャーが更新研修のタイミングで業務量が増えたり、場合によっては研修負担を理由に担当替えが生じることもありました。今後、制度が整備されることで、ケアマネジャーとの継続的な信頼関係が築きやすくなることが期待されます。
住宅型有料老人ホームの登録制
施設選びで最も不安を感じるのが「入居後に初めてわかることが多い」という点です。登録制の導入によって、開設前の情報開示が進めば、施設を選ぶ際の判断材料が増えることになります。ただし、登録制があるからといって、すべての問題が解決するわけではありません。訪問・見学、担当者との面談、サービス内容の確認など、ご家族自身の情報収集は引き続き大切です。
🏢 福祉・介護事業者にとっての影響
今回の改正は、事業者にとって対応が必要な局面をいくつかもたらします。
居宅介護支援・施設運営事業者
ケアマネジャーが研修を受けられる機会の確保が、事業者の義務となります。シフトの調整、時間確保の仕組みづくりなど、職場環境の整備が求められます。これはケアマネジャーの定着にとっても重要な取り組みです。
住宅型有料老人ホームの運営事業者
登録制の詳細が示された後、既存施設の登録手続き・基準適合の確認が必要になる見込みです。改めて自施設の運営基準・人員体制・記録管理を確認しておくことが重要です。
🐾 わおん北海道の視点から
株式会社わおん北海道は、障がい者グループホーム(ペット共生型)・訪問看護・訪問介護・住宅型有料老人ホーム「うるおいの家」・就労支援を組み合わせた包括型ケアを札幌市内で展開しています。
今回の改正で言えば、住宅型有料老人ホームへの登録制導入は、私たちが運営する「うるおいの家」にも関連するテーマです。制度の詳細が明らかになる段階で、適切に対応してまいります。また、ケアマネジャーとの連携は、グループホーム・訪問看護・訪問介護どの事業においても欠かせません。ケアマネジャーが安心して働き続けられる環境整備を、社会全体で進めていくことを私たちも歓迎しています。
私たちが大切にしているのは「共に生きる」というミッションです。制度が変わるときこそ、利用者様・ご家族が不安を感じないよう、わかりやすく情報をお届けし、必要な支援につなげることが私たちの役割だと考えています。
kintoneを活用した業務効率化と記録管理の整備も、今後の制度変化への対応力を高める基盤です。どのような制度改正があっても、支援の質と現場の働きやすさを両立させることを目指しています。
✅ 今日から意識できること
今回の改正を受けて、立場別に意識しておきたい点をまとめます。
ご利用者様・ご家族の方へ
- 住宅型有料老人ホームを選ぶ際は、今後の登録制適合状況も確認材料の一つとしてください
- 担当ケアマネジャーとの定期的なコミュニケーションを大切に。制度が変わっても、信頼関係が一番の安心につながります
- 気になることはためらわず相談支援専門員・事業所スタッフに尋ねてください
福祉・介護事業者の方へ
- ケアマネジャーが研修に参加できるシフト・業務調整の仕組みを今から検討する
- 住宅型有料老人ホームを運営している場合は、厚労省の通知・省令を注視して早期対応の準備を
- 記録管理・人員体制・職員研修の整備は制度対応だけでなく、支援品質と信頼の基盤そのもの
- 中山間地域・過疎地での運営を考えている場合は、弾力化の詳細施行後の制度活用も視野に
📝 まとめ
2026年6月19日に成立した改正介護保険法は、介護・福祉の現場に複数の変化をもたらすものです。ケアマネジャー資格の更新制廃止と研修義務化は、人材の定着と復帰を後押しする方向性を示しています。住宅型有料老人ホームへの登録制導入は、利用者保護と支援の質向上に向けた事前規制の強化です。そして中山間地域での基準弾力化は、地域によって異なる実情に即した支援継続を目指すものです。
制度はあくまでも「環境」であり、それを使って何をするかは私たち現場の側が決めることです。どのような制度変化にも、利用者様・ご家族に寄り添った支援を続けることができるよう、情報収集・体制整備・連携強化を地道に進めてまいります。
