財政審が介護報酬の適正化を要請|集合住宅型サービスへの指摘が現場と家族に問いかけることNews

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財政審が介護報酬の適正化を要請|集合住宅型サービスへの指摘が現場と家族に問いかけること

2026年6月26日、財務省の「財政制度等審議会」が、来年度の介護報酬改定に向けた提言を片山さつき財務相に手渡しました。その中で注目されるのが、介護サービスの「利益率の高さ」と、住宅型有料老人ホームなど集合住宅に附属した在宅サービスへの問題提起です。この提言は、介護を必要とする方やそのご家族、そして介護・福祉事業者にとって、来年度以降の支援体制を考える上で重要な議論の出発点となっています。

📋 財政審の提言とは何か

「財政制度等審議会」(財政審)は、財務省に設置された有識者会議で、国の財政運営に関する基本的な方針を議論・提言する機関です。毎年夏ごろに取りまとめられる提言は、秋以降の「骨太の方針」や、来年度予算、そして介護報酬・障害福祉報酬の改定議論に大きな影響を与えます。

2026年6月26日に提出された今年度の提言では、介護サービス全体の利益率が他産業と比べて高い水準にあるとして、来年度の介護報酬改定において「適正化」(事実上の引き下げ圧力)が必要だという主張が盛り込まれました。

ポイント:財政審の提言は「法律」ではありませんが、来年度の介護報酬改定を巡る議論の方向性に強い影響を与えます。現場の声がこの議論にどう反映されるかが、今後の焦点になります。

📊 「利益率が高い」という指摘の背景

財務省は今回、昨年度の「経営概況調査」をもとに介護サービスの利益率を例示しました。

サービス種別 利益率(昨年度)
訪問介護 9.6%
通所介護(デイサービス) 6.2%
居宅介護支援(ケアマネ) 6.2%
全サービス平均 4.7%
中小企業の平均(比較) 3.8%

財務省はこれを根拠に「介護サービスの報酬水準は高すぎる」と主張しています。

ただし、この数字の解釈には注意が必要です。介護業界では長年、人材確保のための給与引き上げが課題となってきました。利益率の一部は、人件費率の改善や、過去の赤字補填の蓄積、設備投資への備えとして確保されているケースも多くあります。「利益率が高い=不当に儲けている」とは一概には言えない側面があります。

⚠️ 注意:利益率の数字は事業所の規模・地域・サービス内容によって大きくばらつきがあります。全体の平均だけで判断すると、個々の事業所の実情を見誤る可能性があります。

🏠 集合住宅型サービスへの具体的な問題提起

今回の提言で特に注目されたのが、集合住宅に事業所が併設・隣接されている在宅サービスへの言及です。

財務省は、集合住宅に入居している方を対象とした訪問介護やケアマネジメントについて、「地域に点在する利用者宅を訪ねるビジネスモデルより、スタッフの移動時間が少なく、労働投入時間も少ないにもかかわらず、同じ報酬単価が設定されているのは非効率だ」と主張しました。

具体的には、以下の2点について介護報酬の「適正化」(引き下げ)を要請しています。

  • 集合住宅(住宅型有料老人ホーム等)の入居者に対する訪問介護
  • 住宅型有料老人ホーム入居者向けの新類型「登録施設介護支援」のケアマネジメント
背景にある問題意識:一部の事業者が、住宅を建設し入居者を集めた上で、自社の介護サービスを大量に提供することで収益を上げる「囲い込み」と呼ばれる構造への懸念があります。財政審はこうした構造が、報酬の効率的な活用という観点から問題があると見ています。

「囲い込み」の問題自体は以前から指摘されてきましたが、今回は財政審が正面から改定への反映を求めた点で、来年度改定において具体的な制度変更につながる可能性が出てきています。

🔍 なぜこの議論が障がい福祉・介護現場に重要なのか

今回の財政審の提言が重要な理由は、単に「報酬が下がるかもしれない」という話にとどまらないためです。

① 支援の「質」が問われる機会になる

財政審の議論では、同じ報酬単価でも「移動が少なくて済む集合住宅型は効率が高い」という論理が使われています。しかし、利用者一人ひとりに必要な支援の量や内容は、住まいの形態だけで決まるものではありません。

本当に手厚い支援をしている事業所が、効率だけを理由に報酬を削られるようなことがあれば、現場のケアの質に影響が出る可能性があります。だからこそ、「支援の質をどう評価するか」というテーマが、報酬改定の核心に据えられるべきだという声が現場から上がっています。

② 介護と障がい福祉の制度が「接続」するエリアへの影響

今回の議論は介護保険に関するものですが、障がい福祉でも「共同生活援助(グループホーム)」のような住まいと支援が一体となったサービスが存在します。今後の障がい福祉報酬の議論においても、同様の「効率性」の視点が持ち込まれる可能性は否定できません。

介護と障がい福祉の両方を手がける事業者や、双方のサービスを利用している方にとって、この議論の行方は目が離せません。

③ 事業所の経営安定が利用者の安心を守る

介護・福祉事業は、人件費率が非常に高い事業です。報酬が下がれば、その影響は最終的に人材の確保・定着・育成に波及します。経営の安定なくして、利用者への安定した支援は届けられません。この観点から、報酬改定の議論は利用者・ご家族にとっても、決して他人事ではないのです。

👨‍👩‍👧 利用者様・ご家族にとっての意味

住宅型有料老人ホームやグループホームを選ぶ際に、「この施設の介護サービスは質が高いのか?」「本当に必要な支援を受けられるのか?」と不安に感じるご家族は少なくありません。

今回の財政審の問題提起は、ある意味で「事業所のサービス内容を正しく見極めるべき」というサインとも受け取れます。以下のような視点で施設を確認してみることが、今後ますます重要になってきます。

  • サービスの提供状況を客観的に説明してもらえるか
  • 利用者本人の状態やニーズに応じてサービス内容が変わっているか
  • 外部のケアマネジャーや相談支援専門員と連携しているか
  • 「囲い込み」ではなく、本当に必要な支援を届ける姿勢があるか
  • 施設・事業所として財務状況や運営方針を開示しているか
ポイント:「囲い込み」への懸念が話題になるからこそ、利用者本位のサービスを丁寧に提供している事業所を選ぶ目利き力が、ご家族にとって大切な時代になってきています。

🏢 福祉事業者・介護事業者にとっての意味

今回の財政審の提言は、来年度の介護報酬改定(2027年度改定)に向けた議論の出発点です。年末に向けて社会保障審議会の介護給付費分科会で議論が深まり、具体的な改定内容が固まっていきます。

事業者が今から準備できること

  • 自社の収益構造の「見える化」
    どのサービスがどの程度の利益を生んでいるか、人件費や設備費との関係を整理しておく。報酬が下がっても経営が成り立つか、シミュレーションしておくことが大切です。
  • 支援品質の「記録と証明」
    「きちんとしたサービスを提供している」という実態を、記録・データとして残しておくことが今後さらに重要になります。ICTや記録ツールを活用して、根拠のある支援の見える化を進めましょう。
  • 複数の収益源を持つ経営体制の構築
    特定のサービス類型への依存度が高いと、報酬改定のリスクを受けやすくなります。事業の多角化や、加算取得の幅を広げることで、安定した経営基盤をつくっていくことが求められます。
  • 制度動向のアンテナを立てておく
    財政審の提言は6月。年末に向けて議論は加速します。業界団体や専門メディアの動向をこまめにチェックし、早めに対応策を検討できる態勢を整えましょう。

🌸 札幌・北海道の地域福祉にとっての意味

北海道は、広大な地域に人口が分散している地域特性上、介護・福祉の「移動コスト」が本州以上に大きくかかります。過疎地では、一人の利用者のもとに訪問するだけで数十分の移動時間を要することも珍しくありません。

こうした中で「集合住宅型は移動が少ない分、効率が高い」という財政審の論理をそのまま北海道に当てはめると、地方の実情を無視することにもなりかねません。

札幌市内においても、住宅型老人ホームやグループホームを拠点として地域の方の生活を支える事業所は多く存在します。報酬の議論は、単純な「効率」だけでなく、地域における福祉の役割という視点から評価される必要があります。

地域への視点:北海道・札幌という地域において、住宅型老人ホームやグループホームは「地域包括ケアの核」として機能しています。制度議論の中でこの役割が正当に評価されるよう、現場からの発信が大切です。

🐾 わおん北海道の視点

株式会社わおん北海道では、障がい者向けグループホーム(ペット共生型)11棟をはじめ、訪問看護ステーション「わおんナース」、住宅型有料老人ホーム「うるおいの家」、訪問介護「ケアプラスわん」など、住まいと支援が連動した事業体制を整えています。

今回の財政審の議論で問われる「集合住宅型サービス」という枠組みは、私たちの事業とも決して無縁ではありません。だからこそ、私たちが日々大切にしていることをあらためてお伝えしたいと思います。

私たちが目指しているのは、「囲い込み」ではなく、「共に生きる」関係性です。保護犬・保護猫と暮らすことができるペット共生型の環境は、利用者様の心理的・社会的なつながりを育む場でもあります。サービスを提供することが目的ではなく、利用者様が本当に安心して地域で暮らしていけるよう支援することが、私たちの出発点です。

また、支援品質と経営の安定を両立させるために、kintoneを活用した業務の電子化・見える化にも取り組んでいます。記録の正確性を高め、多職種間の情報共有をスムーズにすることで、支援の質を数値でも語れる体制を整えることが、これからの介護・福祉経営に求められていると感じています。

報酬改定の議論は、利用者様・ご家族にとって「事業所の選び方」を再考するきっかけにもなります。「本当に必要な支援を、誠実に届けている事業所かどうか」を見極める目を持っていただくことが、これからの時代には大切になってくるはずです。

✅ 今日から意識できる実践ポイント

利用者・ご家族、そして事業者それぞれの立場から、今日から意識できることをまとめます。

利用者様・ご家族の方へ

  • 施設・事業所のサービス内容や費用について、丁寧に説明してもらえる場所を選ぶ
  • 外部のケアマネジャーや相談支援専門員と相談しながら施設を選ぶ
  • 「なぜこのサービスが必要なのか」を確認できる事業所との信頼関係を築く

介護・福祉事業者の方へ

  • 自社の経営データと支援品質データを整理し、報酬改定シミュレーションを行う
  • ICT・記録ツールの活用で支援の見える化を進める
  • 業界団体・専門メディアでの情報収集を習慣化する
  • 「なぜ自社が必要とされているか」を言語化し、利用者・家族に発信する

相談支援専門員・ケアマネジャーの方へ

  • 利用者本位の支援計画を作成し、「囲い込み」に加担しない姿勢を明確に持つ
  • 報酬改定の動向を把握し、利用者・家族への適切な情報提供を行う

📝 まとめ

財政制度等審議会が来年度の介護報酬改定に向けて、介護サービスの利益率の高さと集合住宅型サービスの「適正化」を求める提言を提出しました。この動きは、住宅型有料老人ホームや集合住宅に併設された訪問介護・ケアマネジメントに携わる事業者に直接影響する可能性があります。

一方で、「効率性」だけで報酬を論じることには慎重であるべきです。北海道のような広域分散型の地域では、住まいと支援が一体となった事業所こそが、地域包括ケアの要として機能している側面があります。

重要なのは、数字の議論の中でも「誰のための介護・福祉か」という本質を見失わないことです。利用者様・ご家族・事業者・行政がそれぞれの立場から声を上げ、利用者本位の支援体制が守られる報酬改定となるよう、制度議論の行方を一緒に見守っていきましょう。

わおん北海道より:私たちは、利用者様・職員・保護犬猫がともに安心して暮らせる場をつくることを大切にしています。制度がどう変わっても、「共に生きる」という理念のもと、誠実な支援を届けてまいります。お気軽にご相談ください。

参考・参照元

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